資本主義は俺たちに快適な生活をもたらしてくれた。
特に、電気と水道は文化的生活の土台である。この二つがなければ現代人の快適な生活は成り立たない。
日本の生活水準は一定レベルにあり、もはや快適さを求めてあくせく働く必要はない。
しかし、資本主義は経済を回すために余計なものを売り付けてくる。
俺はこうした構造を見抜いたため、資本主義を半分降りることにした。
資本主義=経済資本主義であるから、お金稼ぎから半分降りることを意味する。
人間の幸不幸は「みんなと同じ」かどうかがものすごく影響している。
言ってしまえば幸福とはその程度のものであり、中身がスカスカで移ろいやすいものをみんな必死に求めているわけだ。
俺はそのゲームから可能な限り降りることにした。
もう追わないし、追う気力もない。
あっちにいったり、こっちにいったりするものを求めて何になるのだろう?
資本主義から半分降りるということは、資本主義の良いところを味わって生きることでもある。
資本主義は人間に産業革命や分業制をもたらし、これによって生産性が大幅に上昇した。
これを違う角度からみると、したくないことはしなくてよくなったと言える。
いや、資本主義的には不得意でしたくないことをされると能率が下がるから迷惑である。
生きていけるだけの金さえ稼げれば、自分の不得意な仕事はしなくていい。
不得意で向いていないことをされては資本主義の足を引っ張ることになる。
極端に言えば、お金稼ぎや労働に向いていないと悟った人は働かなくていい。
生活保護を受けてのんびり慎ましく生きていけばいい。
それが資本主義のためになり、消費という貢献につながる。
社会の発展はお金稼ぎがうまい人たちに委ねればいい。
それが真の資本主義のはずだ。
そこにプライドや見栄や世間体を持ち込むからやっかいなことになる。
資本主義の立場からみればそうした人々は迷惑であり、資本主義の成長を阻害している。
仕事が好きな人やお金稼ぎがうまい人がもたらした恩恵にあずかって身の丈に合った生活をしていればいい。
みんな正社員だから、みんな八時間働いているから、みんなマイホーム建てているから、みんな大学に行くから……
これらは自分のためではなく、世間体である。すなわち、資本主義の足かせとなる行為だ。
資本主義を人格化してみたらきっとこう言うだろう。
『社会不適応な人はおとなしく消費に回ってください。私は必ず働けなんか言っていません。
働くのであれば、自分の不得意なことは大して私を成長させないので、得意なことをしてください。もしくはしたいことをしてください。
八時間働きたくないなら働かないでください。世間体を意識してみんなと同じにしがみつく行為は迷惑です。自分を過信し過ぎです。あなたは優秀ではありません。あなたの代わりなど山ほどいます。
職場は世間の風当たりを防ぐ場所ではありません。あなたをまともな社会人として認定する場所でもありません。
あなたが出世しようが、競争で勝とうが負けようがどうでもいいです。
世間体にしがみつき、いやいや働かれるのは迷惑です。嫌々定年まで働かれても私への貢献にはなりません。
私はあなたに正社員になれとも、八時間働けとも、残業しろとも言っていません。あなたが勝手にそうした環境を選び、ストレスを溜めているだけです。
あなたのプライドや世間体など知りません。メンタル病むぐらいなら身の丈に合った生活をしてくれた方が私のためです。
今後は自分の卑小さを自覚し、思い上がらず、自分を知る努力をしてください。
自分には大した能力がないと自覚したら、天才や秀才がもたらした恩恵におとなしくあずかって消費に回ってください。
天才や秀才や得意なことをしている人は、多くの優れたサービスを生み出し、中には無料のものもたくさんあり、その貢献度は図り知れません。
もう今後は正社員とか、非正規とか、ボーナスとか、成長とか、人格とか、恋愛とか、資格とか、語学留学とか、そうした言葉に惑わされないでください。
あなたが世間体にしがみつき、嫌々仕事をしてメンタルを病むぐらいなら、身の丈に合った仕事に変えたり、得意なことをしてもらった方が私への貢献になります。
経済格差が生まれるのは当然です。しかし格差社会だから不幸なのではなく、あなたが世間体を意識しているから不幸なのです。他人との年収の差に不満を感じているのです。
身の丈以上の生活をする資格が自分にあると思っていたり、たくさんモノがないと生活できないと勘違いしているから不幸なのです。
つまり、あなたは自分を知ろうと努力しないからいつまでも世間の価値から自由になれません。
繰り返しますが、私はあなたにしんどい思いをしてまで働けなんて言ってません。自殺するぐらいなら生活保護を受けてください。
私は単なる仕組みであり、人間を不幸にしたいわけでもありません。
私を恨むのは私のためになる行動を取ってからにしてください。』
まあ、こんな感じだ。
資本主義が人間を不幸にしている面もあるけど、人間自身が不幸にしがみついてる面もある。
資本主義に徹して生きれば、案外穏やかな人生を送れる気がする。
では、今日も上から目線で失礼する。